学校で、こんなふうに、下の物体を F で引っ張ってるけど、まったく動きません。上の物体と下の物体にどのような力が作用しているのか、答えなさい、みたいな問題があると思います。
で、答を見ると
こんな風な図が描かれてたりすると思います。
この手の問題を難しくしてるのは間違いなく、この図です。この図を見て、どの物体にどの力が掛かっているのか、理解できる人間がどれほど居るのでしょうか?このような教え方をしている人は、ほぼ間違いなく物理を良くわかっていないか、これで分かる天才のどちらかです。ちなみに私は高校時代このように教わり、物理は けっこうずたぼろでした。
ではどうやれば良いかと言うと
このように全部の物体をバラバラにしてしまうことです。めんどうくさいので地面は省力しましたが、これで、どの力がどっちの物体に掛かるのか、はっきり分かります。
実はこれは私が自力で辿り着いた方法ではありません。うん十年前に代ゼミの中川という物理の先生に教わった方法です。これに関しては本当に浪人して良かった、一生物の知恵です。
上の物体は、上下方向にまず M1g という自重が掛かり、下の物体から N1 という接触力を受け、また横方向に T1 という摩擦を受けます。矢印の向きですが、特に摩擦はどっちに掛かるか判断しにくいですが、どっちでも良いです。私は T1 を右向きに描きましたが、もし左向きだったら、マイナスの数値となるだけです。
次に下の物体ですが、まず上からの作用反作用で N1 と T1 を逆方向に受けます。それから自重 M2g と地面からの接触力 N2 そして摩擦力 T2 を受けます。最後に問題文に書いてあった、横に引っ張る力 F を加えたら完成です。(地面は省略しました)
文系の人でもここまで描ければ、それなりに部分点ももらえるでしょう。運悪く採点係があまりにも物理を分かってなくて、離したことでバツをもらってしまったら、仕方ないので Twitter で晒してください。
で、ここから釣り合いを考えます。釣り合いとは、物体ごとに上下の力と左右の力、それぞれ足し合わせていくと 0 になりますよと言うことなので、上の物体は
M1g - N1 =0
T1 = 0
下の物体は
M2g + N1 - N2 = 0
F + T2 - T1 = 0
となるわけです 。ここまで書けたらさらに部分点追加でしょう。
あとは、この算数が解ければ
N1 = M1g
N2 = M1g + M2g
T1 = 0
T2 = -F (おっと、左向きだったか)
と分かるわけです。実際の問題では角度がついてたりして sin や cos を使わなくてはならなかったり、摩擦力を摩擦係数を使って計算しなくてはいけなかったりと、難しくなっていきますので、誰でも最後まで回答できるという物もないですが、是非、ばらばらにした、それぞれの物体の釣り合い図までは描けるようになってみてください。
それでは
コメント